2025年、日本人投資家は米国不動産投資を控えるべきか?
日本人投資家は日本国内の低金利(1~2%台)で資金を借り入れ、ドルに両替して米国不動産を購入できます。米国の住宅ローン金利(6~7%台)と比べて金利負担が大幅に抑えられるため、キャッシュフロー面で優位性があります
1. 金利差を活かしたレバレッジ戦略の違い
米国の30年固定住宅ローン金利は2025年5月時点で6.92%と高水準を維持しています。一方、日本の住宅ローンはフラット35で1.48%、変動金利なら0.44%と超低金利が続いています。日本人投資家はこの金利差を活かし、円建てで低コストのレバレッジを効かせることが可能です。米国投資家は高金利での借入となるため、キャッシュフローや投資効率で不利な面が生じます。
2. 為替リスクとヘッジ手法の重要性
日本人投資家が円で借りてドル転する場合、為替変動リスクが常に伴います。2025年5月のドル円相場は142~146円台と高止まりしていますが、年内に130円台後半への円高予想や、逆に150円超への円安リスクも指摘されています。為替予約やオプションなどのヘッジ手法を活用しない場合、返済時に円安が進行すると実質負担が大きく増加します。米国投資家はこのリスクがないため、収益予測が立てやすいのが特徴です。
3. キャッシュフロー構造と利回りの差異
米国投資家は高金利ローンの影響でネット利回りが圧縮されやすい一方、日本人投資家は低金利を活かして同じ物件でも高いキャッシュフローを確保しやすくなります。ただし、為替変動による賃料の円換算額の変動や、円安時のリパトリエーション(本国送金)コストも考慮が必要です。
4.政策金利とマクロ経済の影響
日米の政策金利差は投資環境に大きく影響します。日本は2025年に歴史的な利上げを実施したものの、依然として0.1~1.5%台と低水準。米国は過去2年で5%以上の大幅利上げを実施し、今後もインフレや財政赤字を背景に高止まりが続く見通しです。この金利差は日本人投資家による「キャリートレード」戦略を後押ししています。
5. 為替相場の見通しと投資タイミング
2025年のドル円相場は147円前後を中心に推移し、短期的には150円台への上昇リスク、年後半には130円台への円高転換の可能性もあります。日本人投資家にとっては円高局面でのドル転・物件購入がコスト面で有利。逆に円安進行時は投資妙味が薄れ、慎重なタイミング選択と為替ヘッジが不可欠です。
6. 資産分散・リスク分散の観点
日本人投資家が米国不動産を保有することで、ドル建て資産を持つことになり、日本国内の金利・経済リスクや円安リスクからの分散効果が得られます。一方、米国投資家は国内資産への集中となるため、グローバルなリスク分散効果は限定的です。国際分散投資の観点からは、為替リスクとリターンのバランスを戦略的に管理することが求められます。
まとめ
日本人投資家が米国不動産に投資する最大の強みは、世界的に信頼性の高いドル資産を保有しながら、日本の低金利環境や税制上の減価償却メリット(特に法人の場合は加速度償却も活用可能)を享受できる点にあります。さらに、アメリカは外国人投資家への規制が少なく、経済・市場の安定性や人口増加による長期的な資産価値の上昇も期待できます。円安リスクのヘッジや資産分散の観点からも、日本人投資家ならではの優位性を最大限に活かせる投資先と言えるでしょう。